ランセット、突如「治療者が殺人者になるのを防止する」を発表

 

ランセット、突如「治療者が殺人者になるのを防止する」を発表

戦争犯罪や人道に対する罪に関与したとして、23人のドイツ人医師と管理者を起訴したニュルンベルク医学裁判から77年経った今、ランセット誌は「医療専門職は、残虐行為から学生を守り、報告し、組織的な人種差別や反ユダヤ主義に対処し、非倫理的な研究から身を守り、二度とこのようなことが起こらないように、虐待的な医師を報告するための準備をする道徳的な気概を持たなければならない」という。

ランセット委員会が初めて医学史  ──  ナチ医学に特化した。
11月9日に発表された報告書『医学、ナチズム、ホロコーストに関するランセット委員会:歴史的証拠、今日への示唆、明日への教育』は、ナチ医学の歴史と、いわゆる最終解決(ドイツ政府によるヨーロッパ・ユダヤ人絶滅計画)におけるナチ医学の中心的役割に関する最新の学術的証拠だ、とランセット委員会は述べている。

だが、人々が必要としたとき、あなたは行方を晦ましていた

 

その概要は下に記したとおりだ。

医療従事者、そして健康科学を実践するすべての人々が、この歴史を学ばなければならないのは明らかだ。だが、それで十分なのだろうか?
もしそれが政府のロボットとして働き、宣誓に従って実際の患者を治療する代わりに、医療を政治化している人々を救うのであれば、それは良いことだろう。

しかし、このことは問われなければいけない。私たちがランセットを必要としていたとき、一体全体あなたはどこにいたのか?遅れてもやらないよりはまし、ということなのか?と。もしそうならば、あなたはこれから今回の世界的大殺略の「虐待的な医師」を報告するのか、と。

 

「治療者が殺人者になるのを防ぐ」


ランセット誌2023年11月8日号

要旨
  • ホロコーストは、国家社会主義(ナチス)政権とその協力者による600万人のユダヤ人の組織的な迫害と殺害であり、間違いなく歴史上最も極端な人道に対する罪とジェノサイドである。
  • ナチス政権はその恐怖支配の間、ユダヤ人、シンティや25万〜50万人のロマ人、障害や精神疾患を持つ人々、政治犯、戦争捕虜、LGBTQの人々などに対して無数の暴力行為を行った。
  • これらの残虐行為の特徴的で不穏な特徴は、非人道的でしばしば大量虐殺的な政策の立案、支援、実施において、医療専門家が重要な役割を果たしたことである。
  • 委員会は、「戦後数十年にわたり、医学界がドイツと世界のこの歴史に関与することを拒否してきたこと、そしてナチス政権と医学の関係についての神話が長く続いてきたこと」のために、この報告書が必要であると考える。
  • ヨーゼフ・メンゲレ博士のような極端なケースは少数ではなかった。ドイツ人医師の半数以上がナチ党員だったのである。
  • ナチス・ドイツで行われた医学研究のかなりの部分は科学的手法に基づいており、国際的な学術誌に発表されていた。

 

ホロコーストの後、倫理的な人体研究を保証するためにニュルンベルク倫理綱領で初めて導入されたセーフガードをもってしても、いくら監視しても、すべての専門家の不正行為を止めることはできない。
すべての生物科学研究機関と専門職学会の指導者は、歴史に基づいた専門職としてのアイデンティティ形成が、保健教育において不可欠な要素であると見なされるようにすることが求められている。