日本のメディアが把握していないイスラエルのガンツ前国防相の政権離脱の背景

日本のメディアが把握していないイスラエルのガンツ前国防相の政権離脱の背景

イスラエルのガンツ前国防相が政権を離脱した。

イスラエルのガンツ前国防相は9日、記者会見し、戦時内閣のポストを辞任し、政権を離脱すると表明した。地元メディアが報じた。ガンツ氏はパレスチナ自治区ガザで続くイスラム組織ハマスとの戦闘に関し、「真の勝利を妨害している」とネタニヤフ首相を非難。早期の選挙実施を訴えた。

イスラエル前国防相、政権離脱を表明 「勝利を妨害」と首相批判:時事ドットコム


「週プレNEWS」に連載されている「佐藤優のシン世界地図探索」は、なぜガンツが離脱するのかがよくわかる。
テロを防ぐために壁を作ったガザを占領するというのは、テロに遭いに行くようなもので意味がない。ネタニヤフは極右派に引っ張られてこの意味のない行動を取りつづけている。またイスラエルは国際司法裁判所からラファ軍事侵攻がジェノサイドだと非難され、欧米各国との関係も悪化し国際的に孤立している。佐藤優はこう語る。

ネタニヤフ首相は極右を切る事ができません。そのため、ガザへの入植などという有害な主張を抑えることができない。ならば、ネタニヤフごとまとめて政権を整理しないといけない、という声が高まっています。

 (ネタニヤフのガザ侵攻が非難されているのは)極右派に引っ張られて占領しても、有効な形でハマスを中立化できないからです。ネタニヤフのやり方が強硬だから、降ろそうとしているわけではありません。ガザに対する軍事支配だとハマスを壊滅できないからネタニヤフを外して、現実的にハマスを壊滅しよう、と言っているわけです。

 国際的に完全に孤立すると、逆にハマスを解体できません。だから、ハマスの解体を効率的に実行するという観点から、ネタニヤフを外すということです。あくまで「ここで停戦しよう」という主張ではありません。ここの所が、今のメディアの報道と最大のズレがあります。

然り。メディアの報道がズレているので、それを読んでいる国民もガザ侵攻や今回の国防相離脱の原因が、さっぱりわからない。
ガンツは今年の5月18日に、ネタニヤフに戦後ガザ地区の統治方針を6月8日までに示すよう求め、合意できなければ政権を離脱すると表明していた。

なお、5月5日には、ネタニヤフが、2018年の書簡でカタールにハマスへの資金提供を要請したことが報道されている。

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