世界から孤立したのは西側だ ── 東郷和彦著「プーチンvs.バイデン――ウクライナ戦争の危機 手遅れになる前に」
バイデンは面と向かってプーチンに「あなたには心というものがないようですね」と侮辱した。
著者は元外交官であり、京都産業大学法学部教授、同・世界問題研究所長でもあった人物だ。
この本の中で著者は、2017年に刊行されたバイデンの自伝「約束してくれないか、父さん」には、バイデンが2011年初頭に副大統領として初めてロシアを訪問したとき、プーチンに侮辱を与えたことを誇らしげに書いていることを紹介している。
「首相、私はいまあなたの目を見ていますが」笑みを浮かべながら、私は言った。「あなたには心というものがないようですね」
プーチンは私の顔をじっと見つめてから笑みを返し「お互いに、わかりあえたようですね」と言った。確かにそうだった。
ヌーランド米国国務次官「これでプーチンを弱体化できる」
また、2022年2月24日のウクライナ侵攻後、信頼できる筋から、ビクトリア・ヌーランド米国国務次官が「こんなにうまくプーチンが引っかかるとは思っていなかった。これでプーチンを弱体化できる」といったという趣旨の話を聞いたことを明かしている。
停戦交渉は早くも2月28日から行われていたが、4月19日には米英仏伊加ポーランド、ルーマニア、EU首脳、NATO事務総長、岸田首相がテレビ会議を行い、この会議後ドイツのショルツ首相は「我々はEUやNATOのパートナーとともに、ロシアがこの戦争で勝ってはならないという見解で一致している」と発言したことは記憶の新しい。
世界から孤立したのは西側だ。
ネオコンは、自由や民主主義という価値観を絶対に正しいと考え、その実現に固執するアメリカは自国の絶対正義を他国に押し付ける覇権主義に堕している。
現在の国際社会を見れば「ロシアが世界から孤立しているというより西側が世界から孤立しているといった方が正確ということになる」。(139頁)
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