WHO総会 ── WHOは国家主権を超えて事実上の世界全体主義体制をつくり出す。(下)
監視を支援し、真実の裁定者として行動してきたWHOの歴史
この条約とIHRの修正案は、選挙で選ばれたわけではないWHOに監視、ワクチンパスポート、誤報とみなされるものを対象としたグローバルプログラムを推進する権限を与える可能性があるだけでなく、この国際保健機関はすでにCOVID-19の流行時に、既にこうした権限の行使方法を世界に知らしめた。COVID-19が広まるにつれ、WHOは監視技術を厳格にサポートし、多くのことを間違っていたにもかかわらず、ビッグテック・プラットフォームで真実の裁定者としてますます利用されるようになった。
これらのプラットフォームが、誤情報の烙印を押す投稿を決定する方法に大きな影響力を持つにもかかわらず、WHOはCOVIDについて多くのことを誤り、誤解を招く発言を増幅させてきた。例えば、2020年1月14日の悪名高いツイートで、WHOはコロナウイルスの「中国当局が行った予備調査では、ヒトからヒトへの感染に関する明確な証拠は見つかっていない」といっている。
Preliminary investigations conducted by the Chinese authorities have found no clear evidence of human-to-human transmission of the novel #coronavirus (2019-nCoV) identified in #Wuhan, #China🇨🇳. pic.twitter.com/Fnl5P877VG
— World Health Organization (WHO) (@WHO) 2020年1月14日
また、WHOはデジタル検閲と監視に大きく依存する中国のCOVIDへの対応を賞賛している。つい最近、WHOはこの流れを断ち切り中国のゼロCOVID政策を批判した。そして、その際、これらのデジタル検閲システムは、当然のことながら、中国のソーシャル・プラットフォームにおけるWHOの発言を検閲するために使用された。
もう一つ、COVID-19のパンデミックを通じてWHOが大きく支援したのがワクチンパスポートだ。2020年12月にこれを推進し始めて、今年もグローバルワクチンパスポートの採用を推進している。
WHOの非民主的なグローバルガバナンスシステム
WHOがその権限を獲得する方法は、市民にほとんど何の手段も与えない。民主主義国家では、国家的緊急事態への対応は選挙で選ばれた議員に任されている。議員は国民に適用される対策案について投票し、その投票箱で国民から責任を問われる。WHOのメンバーは、WHAを通じて国民の代わりに法的拘束力のある国際条約や協定について投票を行う。WHAの3分の2の賛成で条約や協定が採択されれば、国際法の下で法的拘束力を持つことになる。
この世界統治体制は、ほとんどの民主主義国家で両側の党の支持を得ている。例えば、2022年のオーストラリア連邦選挙キャンペーンでは、有力候補者の2人ともWHOの権限拡大に対して全面的な支持を表明した。
そして、WHO事務局長は、COVID-19のパンデミックを利用して、自分たちで決断した国々を非難し「自国第一主義のアプローチは・・・世界的脅威に対処するために必要な世界的連帯を阻害する」と主張して、WHOのグローバルガバナンスシステムをさらに受け入れるよう各国に迫ったのである。
関連記事:大きな政府とビッグテックがCOVIDを利用してデジタルIDの採用を加速させた方法
WHOの権限拡大を支持する国々
多くの国が、国際パンデミック条約やIHRの改正案への支持を表明している。
米国は、そのIHR改正案と国際パンデミック条約の両方を支持している。
また、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、欧州理事会(欧州連合(EU)加盟27カ国の代表)もこの条約を支持している。欧州理事会によると、この条約の交渉開始の決定を支持したのは110カ国だ。この110カ国が賛成票を投じれば、WHAが条約を成立させるために必要な3分の2に近い賛成票を得ることになる。
WHOの権限拡大に対する反対意見
このようなWHOの権限拡大に対して、重要な加盟国は大きな支持を表明しているが、地元の政治家、市民、権利団体は、この権限奪取に反対している。
米国ではメアリー・ミラー下院議員(IL州)、バイロン・ドナルド下院議員(フロリダ州)、クリス・スミス下院議員(ニュージャージー州)がバイデン政権のIHR改正案に反対している。リック・スコット上院議員(フロリダ州選出)、トム・コットン上院議員(アーカンソー州選出)もバイデン政権による国際パンデミック条約支持に反対している。
オーストラリアでは、マルコルム・ロバーツ上院議員(One Nation)、アレックス・アンティック上院議員(自由党)、ジェラード・レニック上院議員が国際パンデミック条約に反対している。
保守党のクレイグ・マッキンレー議員やスティーブ・ベイカー議員など、複数のイギリス議会議員も条約について明確に説明するよう政府に求めている。
I’ve had an increasing number of emails regarding this matching my own concerns about this odd @WHO proposal that seems to have just appeared. I’d welcome a statement from @sajidjavid @DHSCgovuk to explain what this means & 🇬🇧 approach to it. https://t.co/boYXT2NoME
— Craig Mackinlay MP (@cmackinlay) 2022年5月16日
I just tabled a written question to @sajidjavid and @DHSCgovuk, asking for both a written and an oral statement on the UK's negotiating position in relation to the proposed international agreement on pandemic prevention, preparedness and response under the auspices of @WHO https://t.co/xY9ZsqKjKw pic.twitter.com/ByzN0vpVyX
— Steve Baker MP FRSA 🗽 (@SteveBakerHW) 2022年5月16日
イギリスのサジッド・ジャビド保健大臣はベーカーの呼びかけに応じ、イギリス政府は条約を支持するが、「『国家規制などの国内決定能力を損なうような手段 』を含む、イギリスの主権を損なうようないかなる手段にも署名しない 」と述べた。
国民投票で承認されない限り、WHOのパンデミック条約に署名しないよう政府に求める英国政府と議会の請願書は、13万人以上の署名を得ており、議会は今後これを審議にかけることになる。この請願は、英国政府と議会 への嘆願サイトのトップページでもトレンドになっている。
欧州議会議員(MEP)のクリスティン・アンダーセンは、この条約を「グローバルエリートによる民主主義の廃止」と決めつけ、反対している。
カナダ保守党(CPC)のレスリン・ルイス議員も条約に反発し、カナダに条約を拒否するよう求める「Stop The Treaty」請願を立ち上げた。
そして、権利団体であるWorld Council for Healthは、条約とIHR改正案の両方に反対する#StopTheWhoキャンペーンを立ち上げた。
しかし今のところ、このWHOの権力掌握の運命は5月22日から5月28日のWHA会議の結果にかかっている。
参考ビデオ:The Plan(新型コロナパンデミックは「計画」であった、という内容です)
■