ウォールストリート・ジャーナル紙、アメリカとウクライナの負けを認める

 

WSJ ー「ロシアの敗北についての魔術的思考に終止符を打つ時が来た」



アメリカの東部エスタブリッシュメントの認識がわかるウォールストリート・ジャーナル

日本語版には掲載されていないが(註:22日付で日本語版にも掲載された)、英語版では掲題の見出しの記事が出た。
ウクライナ反抗は成功せず、中東でも混乱が生じたためアメリカのウクライナ支援はできなくなっている状況にあることなどが最初に書かれている。

 

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナへの全面攻撃から2周年を迎えるにあたり、自信を失ってはいない。待望のウクライナ反攻は、キエフに交渉の強い手を差し伸べるような突破口には至っていない。
中東の混乱が見出しを独占し、米国における超党派のウクライナ支援は、共和党の大統領候補ドナルド・トランプの親プーチン傾向は言うまでもなく、議会の分極化と機能不全によってひっくり返されている。

「現実を見つめよ」という呼びかけ


"It’s Time to End Magical Thinking About Russia’s Defeat " ──  魔術的思考を止めよ、 つまり幼稚な考えは捨てて現実を見つめよ、ということだ。
ウクライナに資金と武器を供給して代理戦争を行わせてきたアメリカの、実質的な敗北宣言だ。

以下、本記事の主要ポイントである。

  • 最前線では、消耗戦となったロシアが敗北している兆候はない。ロシア経済は打撃を受けているが、ボロボロではない。
  • プーチンの権力掌握は、逆説的だが、6月のプリゴジンの反乱未遂後、強化された。戦争に対する大衆の支持は依然として堅固であり、プーチンに対するエリートの支持は崩壊していない。
  • ロシアの軍需工場は生産量を増やしており、ソ連のレガシー工場は、砲弾のような切望されているアイテムに関しては、西側の工場を凌駕している。
  • サウジアラビアとの緊密な協力関係もあって、原油価格の上昇は国家の財源を補充している。
  • 中国とインドは、ロシア産石油やその他の一次産品の輸入を増やすことで、ロシア経済の重要なバックストップとなっている。
  • プーチンは国際刑事裁判所(ICC)に起訴され、ウクライナにおけるロシアの国家支援による戦争犯罪の豊富な証拠があるにもかかわらず、いわゆる「グローバル・サウス」の様々な地域でいまだに受け入れられている。ウクライナ戦争は、米国と欧州のダブルスタンダードや、自国が懸念する問題への関与の欠如と認識している多くの国にとって、ほとんど重要ではない。
  • 少なくともプーチンは、アメリカとヨーロッパのウクライナ支援が消滅し、ウクライナ人が、自分たちにもたらされる果てしないテロと破壊にうんざりし、この二つが組み合わさることで、戦争を終わらせ、勝利を主張するための取引条件を指示できるようになることを期待している。

ヨルダン川西岸でロシア国旗やプーチン大統領・北朝鮮の金正恩総書記の写真を掲げたデモ隊:出典WSJ日本語版