大村智著・編集「イベルメクチン」
”不思議な薬”といわれているイベルメクチン。イベルメクチンの発見・開発に貢献し、2015年ノーベル生理学・医学賞受賞した北里大学特別栄誉教授の大村智博士と同大学の八木澤守正教授、花木秀明教授らによる本だ。素人にもイベルメクチンの新型コロナウイルスへの作用機序がわかるように書かれている。
<イベルメクチン ; 新型コロナ治療の救世主になり得るのか>
河川盲目症、象皮症や疥癬を治してしまうイベルメクチン
イベルメクチンは一般には下記のような薬として知られている。
- オンコセルカ症(河川盲目症)やリンパ性フィラリア症(象皮症)など線虫性熱帯病の抑制に成功した薬品
- ヒトの腸管糞線虫症や疥癬といった感染症
- 犬、猫、牛、羊などの駆除薬
新型コロナ感染症に対する治療効果が検討されている
しかし今、新型コロナ感染症に対する治療効果が検討されている。
イベルメクチンには抗ウイルス作用とサイトカインストーム亢進の抑制があるが、これはイベルメクチンの化学構造が「マイクロライド骨格」と呼ばれるものであることに由来している。マイクロライド化合物には予期せぬ広範な生物活性があるらしい。
抗がん作用・抗ウイルス作用についての研究を進めているアメリカの「新型コロナ救命治療最前線同盟(FLCCC)」によるとこのように報告されている。
1. 新型コロナやインフルエンザを含む多くのウイルスの複製を阻害
2. 多種多様な機序による強力な抗炎症作用
3. 動物試験において新型コロナウイルス量を減少させ、臓器の損傷を防ぐ
4. 曝露前、あるいは曝露後に新型コロナウイルスの伝播を防ぐ
5. 患者の回復を早め、入院の必要性と死亡率を減少させる
6. 広く使用されている地域では感染者が少なく致死率が著しく低い
イベルメクチンが新型コロナに効くわけ
この本には新型コロナウイルスへの作用機序が詳しく書かれているが、簡単にいうとこうだ。
- スパイクたんぱく質にイベルメクチンが結合してACE2レセプターとの結合が阻害される。
- メインプロテアーゼ酵素は、新型コロナウイルスが合成する一本鎖の長いたんぱく質の鎖を切断して、複数の機能するタンパク質を生成する。イベルメクチンはそのメインプロテアーゼに結合して切断活性を阻害し、ウイルスの機能を阻害する。
イベルメクチン使用に反対する面々
WHOは2021年3月31日、イベルメクチンの新型コロナ治療への使用に反対するガイドラインを公表した。厚労省は国外での承認を待つという決定をしており、日本が率先して「特例承認」することを放棄している。
ほかにイベルメクチンの使用を否定しているのはメルク他製薬企業、WHO、EMA(欧州医薬品庁)、FDA、AMA(全米医師会)、米国感染症学会(IDSA)などの学協会だ。インド弁護士会(IBA)は、2021年5月25日、WHOの主任科学者スミヤ・スワミナサン博士に法的通知(LEGAL NOTICE)を送付し、イベルメクチン使用を拒否する言動を止めるよう「警告」を発し刑事告訴も辞さないという強いメッセージを伝えた。
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