ブラックロック社のラリー・フィンクCEO ── 「ウクライナ戦争はグローバリゼーションの終焉を意味する」

 

ブラックロック社のラリー・フィンクCEO ── 「ウクライナ戦争はグローバリゼーションの終焉を意味する」


バンガード社らとならんで世界の非常に多くの企業の株主でもある、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、今年3月、ロシアのウクライナ侵攻は「過去30年間に我々が経験してきたグローバリゼーションに終止符を打った」と述べた。
もう古い記事だが、今回の”事件”の本質が洞察されているので紹介する。

インフレがやってくる、そして経済は地元製造業への依存度を高める。

 

世界最大の資産運用会社のトップは3月24日、世界経済の暗黒の日が来ることを警告する書簡を株主に送付し、インフレが特に懸念されていることを示唆した。
フィンクは、戦争によって各国は自国の経済が他国にどの程度相互依存しているかを再評価することを余儀なくされるだろうと予測した。フィンクによるとそれはまた、経済が地元の製造業への依存度を高めるよう促す可能性があるという。
ウクライナにおけるロシアの侵略とそれに続く世界経済からの分離は、世界中の企業や政府が依存関係を再評価し、製造と組み立ての足跡を再分析するよう促すだろう」


億万長者ハワード・マークス「最も確実なものに価値が置かれる」

オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創設者兼共同会長である億万長者のハワード・マークスは、投資家に同様の感情を表明する手紙を書き、インフレが長期的な結果になる可能性が高いと警告した。
「グローバリゼーションのこれらの否定的な側面の認識は、振り子を地元調達に戻す原因となっている」とマークスは書いている。「最も安く、最も簡単で、最もグリーンな供給源よりも、おそらく最も安全で確実なものにプレミアムが置かれるだろう」

 

フィンク「経済制裁はロシアへの経済戦争だ」

侵攻のずっと前から経済的苦境を経験していたアメリカ合州国EUは、ロシアに壊滅的な経済制裁を課し、エネルギー価格の上昇を悪化させ、市場を混乱させた。
バイデンはウクライナ侵略を叩き、プーチンのロシアへの新たな経済制裁を明らかにした。
フィンク氏は、対ロシア経済制裁はモスクワに対する「経済戦争」に等しいと述べ、これにより展開される危機が投資家にどのように影響するかを予測する努力をすると述べた。

ブラックロックポートフォリオには、推定10兆ドル相当の資産が含まれている。フィンクは手紙の中で、同社はロシア株式の購入を停止したと書いている。
「過去数週間にわたり、私はクライアントや従業員を含む数え切れないほどの利害関係者と話をしてきたが、彼らは皆、資本がロシアに配備されるのを防ぐために何ができるかを理解しようとしている」とフィンクは言った。

グローバリゼーションの恩恵を信じるフィンクが、グローバリゼーションが終わったといった意味は大きい。

 

彼は、ウクライナでのロシアの戦争は、グローバリゼーションの台頭のせいでモスクワが世界の資本市場に巻き込まれてからのこの数十年間の転換点を示していると述べた。

「私はグローバリゼーションの恩恵とグローバルな資本市場の力を長期的に信じている。グローバル資本へのアクセスにより、企業は成長に資金を提供し、各国は経済発展を促進し、より多くの人々が経済的幸福を経験することができる」
フィンクはこう彼の信念を述べたが、それにもかかわらずグローバリゼーションの時代が終わったといったのだ。

つまりそれは、自らの滅亡の危機をも感じているということだ。

 

出典:

nypost.com